だんご虫のSoil飼育

◀︎2023年9月更新版▶︎

ここではワラジムシやダンゴムシを腐葉土の代わりにSoilを用いて飼育する方法について紹介します。


Soilとは

要するに土です。主に赤玉土か黒ボク土系のアクアリウムやテラリウム用ソイル床材、水耕栽培用土(カレント)などの無機質材を使います。

Soiiのメリット

* 衛生的で食中毒菌やコバエやダニが湧きにくい
* 腐植臭など臭いが少ない
* 小さな容器でも多数飼育ができる
* 赤玉土などは湿り具合が色で分かる
* 用土は再利用可能で繰り返し使える

Soil飼育法について

Soil飼育は鉢物園芸に似ています。ほどよく通気性のある容器とそれに適した用土、あとは適度な水やりが飼育のコツとなるので各項目ごとに解説していきます。

1)容器

腐葉土飼育では、腐葉土が餌と棲処を兼ねているため、それなりの容量が必要でした。
しかしSoil飼育では、まめな掃除や気を遣いながら給水するなどの工夫で15cmほどの小さな箱でもオカダンゴムシやアンバーダッキーの親虫で150匹ほどの飼育が可能です。ゴマ粒程の幼体もあわせると小分け間際で300匹を超えた生体を飼育している時期もあります。
※蓋には必ず10〜35mmの通気穴を開け、幼生の脱走防止とコバエが入らぬ工夫をおこなって下さい。
※後に説明しますが、こちらの容器では底に吸水材を敷いています。

2)用土

基本用土は硬質赤玉土(小粒)とサンゴ砂を3:1で混ぜた混合土を基本に防ダニ作用のある、くん炭や脱臭や浄化作用のあるゼオライトなどを加えています。

当方では、水耕栽培用土の中粒カレントにセラミス、超硬質赤玉(小粒)を混ぜたものをベースに、ベントナイト配合のエビ飼育ソイルや化石珊瑚を砕いた礫材、これまで飼育してきた50種ほどのダンゴムシの古土から作った有用バイオ資材などを加えることで、様々な種類のワラダンが飼育出来るように調整しています。

また配合土を敷いた上には、一部適量の園芸用ヤシガラ用土の『あく抜きベラボン』のLサイズを敷きます。

※ただしコンテナやシューズケースなどの大きな容器で飼育する場合は、赤玉は中粒を使ったり、ヤシガラはミズゴケに変えてみたりと花の鉢植え栽培でいう鉢に合わせた土作りが大切になります。

※赤玉土は使用前にふるいにかけて、塵を落とすことをお勧めします。特に袋の底のものは大量の塵が目立ち、気にせず使うと小粒の赤玉では目詰まりしやすくなります。

ちなみに、用土はただ敷くのではなく、以下の役割を意識してセッティングすることがポイントです。
①吸水層
注水したときに底にまわった水や底面で結露した水滴を即座に吸水することで小さな幼体の溺死と底がカラカラに乾くことを防ぎます。
※固く詰めたヤシガラマットや石膏、モルタル、オアシス 等を敷きますが、注水加減を上手くコントロール出来れば省くことも可。
※オアシスはその原料の特性上、水を含むと酸性になる製品もあります。使用前にpHを確認したり、カーベラなどの酸にデリケートな生花用の製品を使う事をオススメします。

②適湿層(赤玉土+サンゴ砂などの配合土)
①と③に挟まれ適湿に保たれた通気性のある層。ワラジムシやダンゴムシ達の生活の場です。

③保湿層
ベラボンなどのヤシガラ材を敷いたエリアです。注水や霧吹きの時に濡れる最上層で水捌けや保水性、通気性の具合が②の湿り具合を決めます。ただしベラボンを容器全体に敷くのではなく1/3〜半分ほどにとどめることで湿度勾配をつける点がダンゴムシ飼育のコツになります。

④シェルター層
樹皮や落葉等。ワラダンの隠れ家であり、乾燥を防ぐ役割もあります。

3)水やり

水やりは2〜3日に一度で、だいたい餌もそれぐらいでカビだすので、餌替えついでにベラボンやヤシガラに霧吹きすることが日々の世話となります。

※これはあくまでも目安で、容器の大きさや通気性で変わる、乾き具合をみながらの適度な水やりが基本となります。

※とくに冷暖房の切り替え時期や温室やヒーターの使い始めは気をつけましょう。油断するとカラカラの干物を見ることになります。

また、一週間に一度ぐらいは底の乾き具合をみて注水瓶などで底まで給水します。ただし
注水は以下に記した青い範囲にとどめ、もし乾燥が不安であれば隅にミズゴケを置くと湿り具合が分かりやすくなります。

このように、霧吹きや給水をいつも決まった所に限定することで、赤印内はいつも乾いていて、青円に近づくほど湿った湿度勾配がいつも同じように維持できます。
※ダンゴムシやワラジムシの飼育は湿度に勾配がつくようにイメージしながら給水やレイアウトを考える事が非常に重要です。

4)給餌

Soil飼育では用土に有機物を含まないので餌皿を置き、定期的に餌を与える必要があります。

餌はラビットフードや亀や魚のペレット飼料がお勧めです。ボレー粉などのカルシウム材も忘れずに与えましょう。

※餌をは放置すればするほど匂いの元であり、トビムシも増えて見苦しくなります。餌は餌皿で与え、食べ切る量をあげて、まめに片付けるとその増加を緩やかにできますが、彼らがいる事で環境の急激な悪化も防げているので、ダンゴムシの良き隣人でもあります。

5)メンテナンス

調子よく飼育をしていても、日常の世話でポツポツと死骸を見かけるようになったら要注意です。

シェルターの下などを入念に観察して下さい。

もし糞や汚れの堆積が目立つ場合、水捌けが悪化して蒸れやすくなっています。
そうなると遅かれ早かれバタバタと調子を崩すので、早急にメンテナンスが必要です。

トビムシが増えて気になりだしたら、一つのサインです。あまり増えすぎると肉食性のダニの発生の原因にもなります。

といっても、Soil飼育のメンテナンスは腐葉土飼育の手間に比べれば格段に楽です。

バケツの上にふるいや水切りボウルを置いて、シェルターや保湿層を除いた中身をぶち撒けます。
あとはシャカシャカと振れば糞や増え過ぎたトビムシなどがバケツに落ちるので、そこから幼体を回収したら清掃完了です。
ダニや害虫が湧いていなければ、用土はそのまま再利用できますので、順次用土を復旧して給水すればメンテナンス完了です。
※これまで普及種から新規輸入種も含めた、50種程を飼育してきましたが、特に問題なく累代飼育できました。
石灰岩地に生息する種は琉球石灰岩の砕石や、化石サンゴの破片などが必要にはなりますが、Soil飼育は手軽にワラジムシやダンゴムシを飼う方法としてお勧めします。

最後に

ダンゴムシの飼育のポイントは適温と適湿度。そして湿度管理の要が飼育容器です。容器の大きさと通気性、それに合わせて適した用土を用意して、飼育種に合わせた湿度を水やりで再現します。

しかし、Soil飼育の難しい点はそれを説明するとなると、かなり感覚的な説明になってしまい、飼育に慣れていない方では再現性もありません。飼育部屋の環境にも左右されやすいです。

そこで、どうにかこの飼育方法を誰でも再現できるよう試行錯誤して考案したものが『Soil飼育Kit』です。

これさえあれば、自宅で捕まえたオカダンゴムシから高価なトリカラーなどの海外種も増やしてきた私のknow-howが再現できます。

ご希望の方はTwitterにてDMにて販売もしています。https://twitter.com/conta_bicho

最新版のセッティングの様子も添付してみますので、是非参考にしてみてください!

皆さまも、そろそろ腐葉土飼育やめてみませんか??

本棚の隅や机の端、水槽の上といったちょっとしたスペースで、飾って愛でるStylishな団子虫の飼育はいかがでしょうか??
Soil飼育Kit ver.202210. セッティングの様子
Soil飼育Kit ver.202210. 掃除の様子

◀︎飼育実績▶︎

※3度以上の累代による幼体を確認したもの